スタートアップエコシステムの現状と課題:『スタートアップサーベイ2024』が明らかにする日本のベンチャー企業の実態

三井住友信託銀行株式会社は、国内スタートアップ企業を対象とした大規模調査『スタートアップサーベイ2024』の結果を発表しました。この調査は、IPOやM&Aを目指す724社のスタートアップ企業から回答を得た、国内最大級のサーベイとなっています。

調査では、「事業戦略」「資金調達・資本政策」「人材戦略」「ガバナンス」など、幅広い項目についてデータを収集・分析しています。三井住友信託銀行は、この結果をもとに、成長ステージごとのスタートアップ企業が抱える課題に対するソリューションを提供し、日本のスタートアップ・エコシステムの発展に貢献していく方針です。

特筆すべき点は、上場企業を対象とした「ガバナンスサーベイ®」の知見も活用し、スタートアップ企業の成長過程における取り組み状況を可視化している点です。これにより、シード期から上場に至るまでの道のりが明らかになると期待されます。

調査結果からは、いくつかの興味深い傾向が浮かび上がりました。例えば、CEOの報酬水準は二極化している一方、CFOの報酬は他のC-levelよりも高い傾向にあります。また、CFOやCOOには幅広いスキルセットを持つ人材が求められていることがわかりました。

資金調達面では、78%の企業が有利子負債による調達を実施しており、IPOに近づくにつれ、信用保証協会の保証付き融資から、コベナンツ付融資へとシフトしていく様子が明らかになりました。

海外売上の有無も、資金調達に影響を与えている可能性が示唆されました。海外売上がある企業は、そうでない企業と比べ、ポストバリュエーションが高く、海外投資家からのエクイティ資金獲得に成功しているケースが多いようです。

その他、M&Aを検討する企業の特徴、リード投資家の選定基準、Deep-tech企業の資金調達状況など、多岐にわたる調査結果が報告されています。

三井住友信託銀行は、今回の調査を通じて得られた知見を活用し、スタートアップ企業の成長を多方面からサポートしていく考えです。日本のスタートアップ・エコシステムは、まだ発展途上の段階にありますが、このような大規模調査によって課題が可視化されることは、今後の発展に向けた重要な一歩となるでしょう。引き続き、スタートアップ企業の動向から目が離せません。

(CHALLENGER/産業創造の挑戦者たち 編集部)

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