株式会社タナベコンサルティンググループの調査結果
株式会社タナベコンサルティンググループが、全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部門の責任者を対象に実施した「2024年度 企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート」の結果が発表されました。この調査は、企業の持続的成長や価値向上を目指した取り組みに関する現状を浮き彫りにしています。
CFOの配置状況と今後の課題
調査によると、約4割の企業がCFO(最高財務責任者)を配置している一方、同じく約4割の企業はCFOの採用や育成を当面計画していないことが明らかになりました。具体的には、40.3%の企業がCFOを配置し、財務戦略を強化していますが、38.7%の企業は「CFOを当面採用する予定はない」と回答しています。
さらに、CFOを配置している企業の中でも11.3%が「CFOはいるが十分に機能していない」と回答しており、CFOの役割がまだ十分に発揮されていない企業も存在することが確認されました。
CFOの役割拡大とその重要性
CFOは、企業の財務管理や資本効率の改善において重要な役割を果たします。CFOが存在する企業では、投資回収期間法や投下資本利益率(ROIC)、内部収益率(IRR)といった財務指標が重視され、投資判断の一貫性が保たれています。しかし、CFOがいない企業では、統一された投資判断基準が欠如していることが多く、投資判断の精度に課題を抱えています。
人的資本への注力
アンケート結果によれば、企業価値向上に向けた取り組みとして「人的資本戦略の充実」が最も重視されていることが明らかになりました。60.8%の企業が「人的資本戦略」を最重要視しており、特に「働き方改革」や「社員エンゲージメント調査」を実施している企業が増加しています。
「働き方改革」に取り組んでいる企業は68.3%にのぼり、テレワークやフレックスタイムなど、従業員が柔軟に働ける環境を整えることが注目されています。また、「社員エンゲージメント調査」を実施している企業も57.5%に達しており、従業員のモチベーションや仕事への満足度を高める取り組みが進んでいます。
しかし、「人的資本KPIの設定とマネジメント」や「人材ポートフォリオ計画」の策定といった具体的な数値目標の設定にはまだ課題が残っており、これらの取り組みが次なるステップとして求められています。
大企業ほど注力する気候変動対策
調査結果から、売上高1,000億円以上の企業では「人的資本」や「気候変動対策」が特に重視されていることが示されました。27.8%の企業が人的資本に注力し、22.2%が気候変動への対応に積極的です。これにより、大企業ほど多様性を尊重し、持続可能な成長を重視していることがわかります。
一方で、売上高が50億円未満の企業では、「人的資本」や「従業員の健康と安全」を重視する傾向が強く、これらの企業にとっても人的資本の活用が重要な課題であることがわかります。ただし、気候変動対策への取り組みは、売上高が大きい企業ほど進んでいることが見受けられます。
専門コンサルタントによる総括
タナベコンサルティンググループの専門コンサルタントは、企業価値向上に向けた取り組みについて、以下のように総括しています。
企業が持続的に成長し、競争力を高めるためには、CFOの役割は欠かせないという見解が示されました。特にCFOがいる企業では、財務戦略が整備され、株価純資産倍率(PBR)の向上が見込まれるため、企業価値が高まる可能性が高いとされています。
また、ESG(環境・社会・ガバナンス)への対応も、企業価値向上に不可欠です。人的資本や気候変動、コーポレートガバナンスに注力する企業は、ステークホルダーとの信頼関係を強化し、持続可能な成長を実現しています。
まとめ
本調査を通じて、企業価値向上に向けた取り組みの重要性が再確認されました。特にCFOの存在や人的資本への注力が企業の競争力を高める上で鍵となっています。今後、企業が持続的な成長を遂げるためには、CFOの適切な配置と機能強化、そして柔軟な働き方や従業員エンゲージメントの向上に向けた取り組みが不可欠です。
注記: 本記事は、2024年8月29日に発表された株式会社タナベコンサルティンググループの「2024年度 企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート」に基づいています。記事内のデータや情報は執筆時点のものであり、最新の状況と異なる可能性があります。正確な情報を得るためには、公式サイトや専門家の助言を参考にしてください。
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