【経営者/投資家/メディア向け:新産業のヒント】民放キー局5社が結集するテレビカンファレンス2024から見える、デジタル時代における放送・広告産業の戦略転換 – TVerとの連携強化で示される地上波とデジタルの融合、そしてマーケティングソリューションの進化

2024年10月29日
CHALLENGER 放送・メディア産業編集部

テレビ業界が大きな転換期を迎えている。民放キー5局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)が共催する「テレビカンファレンス2024」が11月7日に東京国際フォーラムで開催される。昨年の第1回開催時から会場規模を拡大し、さらにTVerの参加も決定したことで、放送業界の新たな戦略が鮮明になってきた。

地上波とデジタルの垣根を超えた新時代のテレビマーケティング

今回のカンファレンスのテーマは「もっと伝えたい、テレビのこと~ビジネスを加速させるテレビマーケティング最前線~」。各局が独自のセールスメニューやソリューションを紹介するだけでなく、TVerも含めた包括的なマーケティングプラットフォームとしての可能性を提示する。

放送・デジタルメディア産業編集部では、この動きに以下の3つの重要な示唆があると分析している

1. 放送局による統合マーケティングへの本格参入

従来の番組CM枠販売から、統合的なマーケティングソリューション提供へと軸足をシフト
各局のブース展開を通じた双方向コミュニケーションの強化
クライアント企業との直接的な対話を通じた新しいビジネスモデルの模索

2. TVerの戦略的位置づけの明確化

地上波放送とデジタル配信の融合による新たな広告価値の創造
若年層へのリーチ拡大を見据えたプラットフォーム戦略
データ活用による精緻なターゲティングの実現

3. 業界横断的な協業体制の構築

競合局同士の協力関係による市場開拓
共通プラットフォーム(TVer)を軸にした新しいビジネス展開
広告主に対する価値提案力の強化

各ステークホルダーへの示唆

経営者への示唆

テレビ局が単なる媒体社から、統合マーケティングソリューション提供者へと進化している現状は、あらゆる業界における事業転換のモデルケースとなり得る。特に、競合他社との協業による新市場創造は、成熟産業における新たな成長戦略のヒントとなるだろう。

投資家への示唆

放送局各社の取り組みは、従来の広告収入モデルからの脱却を目指す具体的な動きとして注目される。特にTVerを含めたデジタル戦略の進展は、将来の収益構造の変化を示唆している。中長期的な投資判断において、各社のデジタルトランスフォーメーション進捗度合いが重要な指標となるだろう。

メディア関係者への示唆

従来の縦割り型のメディアビジネスから、クロスメディア型の価値提供へとシフトする必要性が明確になってきている。特に、リアルとデジタルを融合させたマーケティングソリューションの開発は、今後のメディアビジネスの方向性を示している。

放送・デジタルメディア産業編集部コメント

「民放キー局各社が一堂に会し、共通のプラットフォームを構築しながら新たな価値創造に挑戦する姿勢は、日本の産業界全体に示唆を与えるものだ。特に、TVerの参画により、従来の地上波放送の枠を超えた新しいビジネスモデルの萌芽が見られる。このカンファレンスを通じて、テレビ業界の変革の方向性がより鮮明になることが期待される。」

本カンファレンスの参加登録期間は11月6日まで延長された。テレビを活用したマーケティング、ソリューションに関心のある企業関係者は、この機会に放送業界の新たな挑戦に触れることをお勧めしたい。