M&A後のPMIにおける経営人材の重要性と課題 – 株式会社SLONE代表取締役 石泰成氏が語る、買収後の統合を成功に導くカギとは?元ファーマリー創業者の経験と洞察に迫る

近年、M&A仲介業界への新規参入が増加し、それに伴い中小企業のM&Aも活発化しています。しかし、M&Aを成功に導くためには、買収後の統合(PMI:Post Merger Integration)を適切に推進できる経営人材が不可欠です。株式会社SLONEの代表取締役である石泰成氏は、M&Aを実施した売り手・買い手企業との対話を通じて、PMIにおける課題と経営人材の重要性について考察しています。

石氏によると、PMIを経営統合・事業統合・機能統合(経理財務・人事労務・法務・IT)に分けた場合、機能統合に関しては一定の専門リソースの調達が可能ですが、全体を統合・推進する経営人材が不足しているとのことです。機能統合は経営・事業の統合と連動する部分が大きく、その指揮をとる人材が不在では根本的に機能しません。買い手企業側では、経営・事業統合を行う専任人材がいないことが多く、経営者が限定されたリソースを投下するか、悪い場合はほぼ放置になってしまうそうです。

買収完了後、最初の仕切りが非常に重要であり、被買収企業の組織の維持・ケアや不和を起こさないよう配慮した方針転換を行わなければ、本来買収で意図した収穫が得られない結果に終わることも多くあります。最初が挫けると立て直すのは本当に大変だと石氏は述べています。

M&A実施後の企業で必要になるのは、優先的に経営リソースの確保であり、採用が望ましいですが難易度は非常に高いため、外部人材登用などテンポラリーな調達も視野に入れる必要があります。機能統合のリソースについては各種士業やコンサルティング、業務委託など調達チャネルが存在するため適宜活用すればよいですが、先んじて手を打つ必要があるのは経営・事業統合を担うリソース確保であり、これがないと崩壊してしまうと石氏は警鐘を鳴らしています。

石氏自身も、ファーマリーをDMMに売却した後、約3年間DMMグループで仕事をした経験から、貴重な学びを得ています。お金だけ一気に投下しても伸びない場合があり、ボトルネックの見極めが重要であること、お金を投下すれば伸びる状態にできた時点で事業としては勝ちであること、新規事業をやるにも新規性のある部分はコントロールが必要で、パクれる部分は徹底的にパクること、プロジェクトマネジメントスキルのある人が入るだけで一気にスピード感が変わること、正攻法でリーチできないようなすごい人がいて、繋がった時点で事業フェーズが変わるような人がいること、ガバナンスが大事であることなど、PMIに関連する重要な点を挙げています。

石氏は、M&Aを通じた産業創造において、PMIを推進する経営人材の確保と育成が喫緊の課題であると訴えています。もし何かしら力になれそうであれば話したいと述べており、この分野での貢献を望んでいます。M&Aを単なる買収に終わらせず、真の価値創造につなげるためには、石氏のような挑戦者の視点と、それを支える応援者の存在が不可欠です。産業界の発展のため、M&A後のPMIにおける経営人材の重要性について、さらなる議論と取り組みが期待されます。

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