- はじめに – 日本の中小企業が直面する事業承継の危機
- 深刻化する後継者不在問題
- 経済の屋台骨を揺るがす事業承継難
- 新たな選択肢 – サーチファンドという挑戦
- サーチファンドとは何か
- 欧米から広がる新たな潮流
- 日本におけるサーチファンドの黎明期
- 伊藤公健氏 – 日本初のサーチャーが切り拓く道
- 起業家魂を胸に、中小企業の未来を託された男
- サーチファンド・ジャパンの設立と躍進
- 第一号案件の成約と、その先の展望
- サーチファンドの魅力 – 譲渡側と譲受側をつなぐ架け橋
- 理念と人柄を見極められる出会いの場
- 事業と想いの引継ぎを丁寧に進められるメリット
- 社名や社風を守りながら、新たな一歩を踏み出せる
- 若き挑戦者たちの熱き想い
- 年功序列に縛られない、実力を試す機会
- 事業オーナーとして成長と挑戦を続けられるやりがい
- リスクとリターンの天秤にかける勇気と覚悟
- ベンチャー投資家という心強きパートナー
- 挑戦者の背中を押す、頼れるサポーター
- 資金と知見の両面から、全力でバックアップ
- 未来のユニコーン企業を育む土壌を創る
- 地方創生の起爆剤となるか
- 地方の魅力的な企業を見出し、価値を高める
- 都会の若者と地方企業のWIN-WINを生む
- 地域経済の活性化と雇用創出への貢献
- サーチファンドの課題と展望
- 認知度向上と啓蒙活動の必要性
- 優秀な人材の発掘と育成の仕組みづくり
- 法整備など、環境を整える取り組みにも注目
- 産業創造の担い手として
- 次世代の経営者を輩出する新たな仕組み
- イノベーションと価値創造を促す触媒となれるか
- 日本経済の活力を生み出す原動力に
- さいごに – 事業承継の新時代が幕を開ける
- サーチファンドの可能性に大きな期待
- 挑戦者と応援者の想いがひとつになるとき
- 次なるCHALLENGERへのエール
- はじめに – 日本の中小企業が直面する事業承継の危機
日本経済を支える中小企業の経営者の高齢化が進み、深刻な後継者不在の問題に直面しています。帝国データバンクの調査によると、何と全国の中小企業のうち、実に66%が後継者難に悩んでいるというデータがあります。
団塊の世代の経営者が次々とリタイアする「大廃業時代」が目前に迫る中、この問題への対応は待ったなしの状況です。中小企業は地域経済の重要な担い手であり、雇用の受け皿でもあります。有望な企業が廃業に追い込まれるようなことになれば、地域社会に計り知れない影響を及ぼしかねません。
まさに今、中小企業の事業承継は、日本経済の屋台骨を揺るがしかねない重要課題なのです。いかにしてバトンを次の世代に渡していけるのか。ここに事業承継の新しいカタチとして登場したのが「サーチファンド」です。
- 新たな選択肢 – サーチファンドという挑戦
欧米で広がりを見せているサーチファンドとは、経営者になることを志す若者(サーチャー)が、投資家から支援を受けながら、自ら承継したい中小企業を探し、M&Aを通じて経営權を引き継ぐ仕組みのことを指します。
従来の親族内承継や従業員承継、M&Aといった選択肢とは異なる、新たな事業承継のカタチとして注目を集めています。サーチファンドの起源は1984年にさかのぼり、米国のスタンフォード大学で生まれたとされています。
以来30年以上にわたり、欧米を中心に数多くのサーチファンドが設立され、サーチャーたちが経営の舞台に立ってきました。そして今、その潮流が日本にも押し寄せています。日本での第一人者とも言えるのが、当社代表の伊藤公健氏です。
「会社を買って、経営者になる」。この新しいキャリアパスに胸を躍らせた伊藤氏は、日本で初めてサーチファンドに飛び込んだパイオニアとも言える存在です。米国でMBAを取得後、投資ファンドでのキャリアを経て、2014年に日本初のサーチファンドであるサーチファンド・ジャパンを立ち上げました。
自らの手で魅力的な中小企業を見つけ、その将来を託されるサーチャーとなる。リスクを恐れず、新たな道を切り拓く起業家精神を体現する伊藤氏の挑戦は、多くの若者に勇気と希望を与えてくれました。
- サーチファンドの魅力 – 譲渡側と譲受側をつなぐ架け橋
なぜ今サーチファンドが注目を集めているのでしょうか。その大きな魅力は、事業を譲り渡す側と、譲り受ける側の双方にメリットがある点だと言えます。
オーナー経営者にとっては、単なる「会社売却」ではなく、自分の理念を継いでくれる後継者を選べることが何よりも重要です。サーチファンドでは、譲渡側と譲受側がじっくりと向き合い、お互いの想いを確かめ合える出会いの場が生まれます。
同時に、「顔の見えないファンドに売却する不安」や「取引先との関係が続くのか」といった懸念を払拭できるのも大きなメリットです。サーチファンドでは、社名や社風を守りながら、新たな体制での再スタートが切れるのです。
譲受側のサーチャーにとっても、オーナーと二人三脚で未来を描ける魅力は計り知れません。単なる「雇われ経営者」ではなく、事業の将来を自分の手で切り拓いていけるのは、何物にも代えがたいやりがいとなるでしょう。
- 若き挑戦者たちの熱き想い
サーチファンドに飛び込む若者たちの多くは、途方もない熱量を秘めています。従来の年功序列の世界では、中々経営の表舞台に立てる機会に恵まれません。しかしサーチファンドは、その能力と情熱にチャンスを与えてくれる特別な舞台なのです。
「リスクを取る勇気」と「圧倒的な成長への渇望」。その熱き想いを胸に、彼らは未知の世界に飛び込んでいきます。アメリカの著名なサーチャーの中には、企業価値を数十倍に高め、巨額の成功報酬を得た者もいると言われています。
もちろんリスクとリターンは表裏一体。すべてを賭けて挑戦する以上、並大抵の覚悟は必要でしょう。それでも、自らの力を存分に発揮し、事業を通じて社会に貢献したいという熱い思いが、彼らを突き動かしているのです。
- サーチファンドを支える投資家の存在
サーチファンドの仕組みを支えているのが、サーチャーの挑戦を支援する投資家の存在です。これらの投資家は、サーチファンドに特化した投資を行うことで、若き経営者候補の発掘と育成に貢献しています。
サーチファンド投資家は、サーチャーに対して資金面でのサポートを提供するだけでなく、自らの経験や知見、ネットワークを惜しみなく共有します。投資家の中には、自身も過去にサーチャーとして活躍した経験を持つ方もおり、そうした方々からのアドバイスは、サーチャーにとって非常に貴重なものとなります。
サーチファンド投資家は、単なる資金提供者ではなく、サーチャーの成長を促し、事業承継や経営の様々な場面で直面する課題の解決を手助けする頼れるパートナーです。投資家とサーチャーが力を合わせ、志を一つにすることで、次世代の経営者育成と中小企業の発展に寄与していくのです。
投資家の存在は、サーチファンドという取り組みを下支えする重要な要素の一つであり、サーチャーと投資家の強固な信頼関係が、このエコシステムを発展させていく原動力になると言えるでしょう。
- 地方創生の起爆剤となるか
サーチファンドへの期待は、地方創生の観点からも高まっています。地方には魅力的な中小企業が数多く眠っているものの、後継者不在により廃業の危機に瀕しているケースが少なくありません。
そんな状況下、「地元の企業を盛り上げたい」「地方でのキャリアを描きたい」と考える都会の若者とをつなぐ架け橋となるのがサーチファンドです。意欲ある若手経営者が地方企業の経営を引き継ぐことで、新たな雇用が生まれ、地域経済が活性化されていく好循環が生まれるのです。
地域に根差した中小企業の魅力を再発見し、その価値を次の時代につないでいく。サーチファンドは、地方創生という日本の重要課題解決の一翼を担う存在として、大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。
- サーチファンドの課題と展望
とはいえ、日本におけるサーチファンドの認知度はまだまだ低いのが現状です。この新しい取り組みの意義や可能性を広く伝えていく啓蒙活動が何より求められています。
同時に、サーチャーとなりうる優秀な人材をいかに発掘し、育成していくかも大きな課題です。米国のようにMBAホルダーを中心に据えるのか、あるいは独自の育成プログラムを構築するのか。日本の実情に即した仕組みづくりが問われています。
加えて、サーチファンドに関わる法整備など、環境を整備する取り組みも欠かせません。特に、スムーズな事業承継を後押しする税制優遇策などは、サーチファンドの普及を後押しする上でも重要なポイントとなるでしょう。黎明期だからこその課題に真摯に向き合い、一つ一つ前に進んでいくことが肝要です。
- 産業創造の担い手として
サーチファンドの役割は、単なる事業承継の新しい選択肢にとどまりません。次世代の経営者を輩出する仕組みとして、日本の産業創造の未来を切り拓く存在になり得るのです。
若き挑戦者たちがサーチファンドを通じて経営の舞台に立ち、イノベーションの種を次々と芽吹かせていく。そこから生まれる新たな価値が、日本経済に新しい活力を吹き込んでいくことでしょう。
大企業の論理とは異なる、スピード感と柔軟性を武器に、中小企業ならではのダイナミズムで市場開拓を進めていく。サーチファンド出身の経営者たちは、そんな産業創造の担い手としての活躍が大いに期待されるのです。
- さいごに – 事業承継の新時代が幕を開ける
「あなたの想いを、次の時代へ」。サーチファンドに託された使命は重く、そして尊いものがあります。オーナー経営者の長年の想いを受け継ぎ、新しい挑戦者の手で未来へとつないでいく。そこには様々な苦労や障害もあるでしょう。それでも、志高き若者たちの熱意と、彼らを支える応援者の力が一つになれば、きっと道は拓けるはずです。
サーチファンドはまだ日本では馴染みの薄い存在かもしれません。しかし、米国をはじめとする先進事例が示すように、その可能性は計り知れないものがあります。「経営者になりたい」という若者の熱き想いに、オーナー経営者の「想いを未来に託したい」という切なる願いが重なる時、そこには必ず何か特別なものが生まれるのです。
「次なる時代を切り拓く者」。そんな意味が込められたCHALLENGERという言葉。サーチファンドに挑む若き起業家たちや、彼らを支えるオーナー経営者、ベンチャー投資家の皆さんは、正に現代のCHALLENGERと呼ぶにふさわしい存在ではないでしょうか。
彼らの情熱が、日本の産業創造の歴史に新しい1ページを刻むことを心から信じています。まだ見ぬ未来へと続く道のりは険しいかもしれません。しかし、その先にあるものを想像すれば、胸が高鳴るのを感じずにはいられません。
事業承継の新時代が、今まさに幕を開けようとしています。サーチファンドという挑戦の狼煙を上げた若き起業家たちに、私たちは最大限のエールを送りたい。「想いをつなぐ」その崇高な志に心からの敬意を表しつつ、彼らの前途に幸多からんことを祈念してやみません。
次なるCHALLENGERの登場を心待ちにしつつ、私たちもまたオールジャパンでその挑戦を支えていく。日本の産業創造に欠かせない「承継」という営みに、新たな光を当てたサーチファンド。その輝かしい可能性に満ちた船出に、心からのエールを送ります。