CHALLENGER/産業創造の挑戦者たち編集長 浜崎正己 2025年3月6日
メディアを通じて紡ぐ「挑戦者」の物語
浜崎正己と申します。「CHALLENGER/産業創造の挑戦者たち」の編集長として、経営者・投資家・メディアを繋ぎ、新産業を生み出すためのメディア運営に携わってきました。このたび、THE WHY HOW DO COMPANY株式会社(以下、ワイハウ)の「ブランド共創部」担当部長に就任することになりました。これまでの編集長としての経験と、新たな部門での活動を通じて、大手企業の新規事業創出と既存事業の再成長を支援していきたいと考えています。
この決断に至るまでには、様々な経験と出会いがありました。複数社の役員・起業を経験し、出版社の事業承継を行う企業でCFOとして再成長を牽引した日々。大手企業の新規事業コンサルティングに取り組みながら、「CHALLENGER」の編集長として経営者・起業家・大学との共同企画を実施してきた時間。累計60件以上のメディア支援を通じて培った「発信設計」と「社外巻き込み力」。これらすべての経験が、今の私を形作っています。
今回は、この大きな転機を迎えるにあたり、私自身のこれまでの歩みと、「CHALLENGER」というメディアの理念、そして新たな「ブランド共創部」での挑戦について、思いの丈を綴りたいと思います。
「対話」から生まれる価値—私のメディア観
私がこのメディアを立ち上げたとき、心に決めていたことがあります。それは「単なる情報発信の場ではなく、対話を通じて新たな価値を生み出す場にしたい」ということでした。
多くのビジネスメディアが華々しい成功事例や経営者のカリスマ性を取り上げる中で、私が見つめたかったのは、その成功の裏側にある苦悩や葛藤、試行錯誤の過程でした。なぜなら、真の価値はそこにあると信じていたからです。
これまで取材してきた多くの経営者や起業家、新規事業担当者たちとの対話を通じて、私はある確信に至りました。挑戦者たちを動かしているのは「WHY(なぜ)」という問いへの答えだということです。「なぜこの事業に取り組むのか」「なぜこの課題を解決したいのか」「なぜ前例のない道を選ぶのか」—これらの問いに対する一つひとつの答えの中に、その人の情熱や使命感、そして社会への貢献意欲が宿っています。
そうした「WHY」を引き出し、記事として社会に伝えていくことで、読者の中から新たな挑戦者が生まれるかもしれない。そんな希望を胸に、私は日々の編集活動に取り組んできました。
大手企業の新規事業担当者との対話から見えてきたもの
特に印象深かったのは、大手企業の新規事業担当者たちとの対話です。彼らは組織の規模や歴史、ブランド価値といった恵まれた環境の一方で、時として身動きが取りにくい状況に置かれています。社内の稟議プロセスの複雑さ、失敗へのリスク回避、スピード感の欠如、社内外のステークホルダーを巻き込む難しさ—こうした課題の数々は、多くの企業に共通するものでした。
ある大手製造業の役員は私にこう語りました。「私たちには優れた技術力があるのに、それを新規事業として展開するときに、社内での合意形成だけで何ヶ月も費やしてしまう。その間にも市場は動き続けていて、気がついたらチャンスを逃していることもある」と。また、別の大手サービス業の新規事業担当者は「既存事業の成功体験が強すぎて、それとは異なるアプローチを取ることへの抵抗感が社内に根強い」と打ち明けてくれました。
こうした声に触れる度に、私は大手企業ならではの「新規事業のジレンマ」があることを実感してきました。その一方で、大手企業だからこそ持つ強みやアセット、信用力を活かせば、スタートアップには実現できないスケールでのイノベーションが可能になるはずです。それを阻んでいるのは、多くの場合「仕組み」の問題です。
そんな思いから、今回の「ブランド共創部」の設立と担当部長就任を決意しました。メディアで培った「発信力」と「対話の場づくり」を、より直接的に大手企業の課題解決に活かしていきたいと考えたのです。
「他者と自分を同時に幸せにする」メディアの実践
2月27日に発表した「他者と自分を同時に幸せにする」メンター・メンティー制度も、こうした思いの延長線上にあります。この制度は対話の記事化を通じて「価値無限思考」を社会実装することを目指すもので、私のメディア活動の本質を表しています。
この制度において、私が最も大切にしているのは「互恵関係」です。メンターは自らの経験や知恵を分かち合うことで社会に貢献し、メンティーはその学びを得て成長する。そして私たちメディアはその対話を記事化することで、より多くの人々に価値を届ける。こうした三方よしの関係を作ることが、真の「共創」だと考えています。
対話の積み重ねが、少しずつ「共創」の文化を育み、そこから新たな事業や価値が生まれていく—その可能性に、私は大きな希望を見出しています。
「ブランド共創部」での新たな挑戦
今回立ち上がる「ブランド共創部」では、これまでのメディア活動で培った「発信設計」と「社外巻き込み力」を核に、大手企業の新規事業創出と既存事業の再成長を加速する「共創エコシステム」を提供していきます。具体的には以下の5つの役割を担っていきます。
1. メディアを通じたブランド発信

私が編集長を務める「CHALLENGER/産業創造の挑戦者たち」やラジオ番組等を活用し、大手企業の新規事業担当者・役員へのインタビューや事例発信を行います。ここで重視するのは、単なる成果や戦略の紹介ではなく、その背景にある思いや試行錯誤の過程を丁寧に描き出すことです。そうすることで、社内ではイノベーションマインドを育み、社外では投資家・取引先・自治体との関係強化につなげていきます。
2. PoC先とのマッチング・スピード検証
大手企業の新規事業アイデアを素早く検証するため、ワイハウのグループ企業(IT、飲食、教育、エンタメなど多岐にわたる)や「価値共創パートナー」(大学・自治体など)との連携で、試しやすく、失敗が許容される検証環境を提供します。アイデアを形にし、実際に市場の反応を見ることで、より確度の高い事業開発につなげていきます。
3. ファイナンス連携・投資家コミュニティの活用

新規事業の資金調達やスピンアウトなどを柔軟に進めるため、VC/PE、金融機関、個人投資家とのネットワークを活用します。大手企業の新規事業は、スタートアップと異なり、社内資金だけで進めることも可能ですが、外部からの資金調達によってコミットメントを高め、スピード感を持った事業展開が可能になります。その際の戦略立案や投資家との関係構築をサポートします。
4. 人材・学びの場づくり

大手企業の新規事業担当・役員向けに成功・失敗事例を共有するセミナーやワークショップを開催します。理論だけでなく実践的なノウハウを学ぶ場を提供することで、新規事業開発に必要なマインドセットやスキルの獲得を支援します。また、異なる企業の担当者同士のネットワーキングの場も創出し、業界の垣根を越えた学び合いを促進します。
5. ブランド価値の向上と社会的評価の獲得
新規事業の取り組みや成果を積極的に発信することで、社内の挑戦文化醸成と社外ステークホルダーの期待向上を両立させます。企業ブランドを新たな文脈で語り直すことで、既存顧客だけでなく新たな顧客層や人材、投資家からの評価獲得にもつなげていきます。
こうした活動を通じて、大手企業の「新規事業のジレンマ」を解消し、そのポテンシャルを最大限に引き出していきたいと考えています。
「泥臭さ」への共感—私の仕事哲学
ワイハウの企業文化を特徴づける言葉の一つに「泥臭さ」があります。「泥臭い経営コンサルティング」「泥にまみれてお客様の期待に応える」「一緒に泥をかぶる」といった表現に象徴されるように、理論だけでなく実践を重視し、クライアントと共に困難に立ち向かう姿勢を大切にしています。
この「泥臭さ」という価値観は、私自身の仕事哲学とも深く共鳴するものです。これまでの経営者・役員としての経験や、企業再建の現場で汗をかいてきた日々を通じて、私は「机上の空論」ではなく「現場の知恵」の重要性を痛感してきました。どれだけ優れた戦略や計画があっても、それを実際に形にするのは人であり、現場の地道な努力です。
メディア「CHALLENGER」においても、この「泥臭さ」を大切にしてきました。取材においては、表面的な成功談だけでなく、その裏にある苦労や失敗、葛藤にも踏み込むよう心がけてきました。記事作成においても、華々しい言葉や流行りの表現で飾るのではなく、読者の心に真に響く、実践的で具体的な内容を重視してきました。
今回の「ブランド共創部」での活動においても、この「泥臭さ」の精神を大切にしていきます。大手企業の新規事業支援において、単に理論やフレームワークを提供するだけでなく、実際のPoC(実証実験)の場での伴走や、社内外のステークホルダーを巻き込むための地道な対話など、「共に泥をかぶる」覚悟で臨んでいきたいと思います。
今後の展望:対話と共創の輪を広げていく
「ブランド共創部」での活動と並行して、「CHALLENGER」というメディアもさらに発展させていきたいと考えています。具体的には、以下のような取り組みを強化していく予定です。
1. 新規事業創出事例の積極的発信
経営者・新規事業担当・学術関係者を交えた対談企画や公開イベントを通じて、リアルなノウハウを社会に還元します。特に、失敗から学んだ教訓や、予期せぬ成功につながった偶然の出会いなど、教科書には載らない知恵を丁寧に拾い上げ、共有していきます。
2. 業界・領域を超えたPoCのマッチングプログラム
多様なパートナー企業との共同検証の場を定期開催し、セクターを超えたイノベーションを誘発します。例えば、製造業とIT、金融と小売、医療と教育など、異なる業界の掛け合わせから生まれる新たな可能性を探求していきます。
3. 「挑戦者のジレンマ」シリーズの展開
新たな挑戦に踏み出す際に直面する葛藤や障壁、それを乗り越えるための知恵に焦点を当てた連載を開始します。特に大企業内での新規事業開発特有の課題や、それを克服するための実践的アプローチを深掘りしていきます。
4. 地方創生に挑む方々の取材強化
東京一極集中ではなく、全国各地で地域活性化や新産業創出に取り組む方々の声にも積極的に耳を傾けていきます。地方には独自の課題と可能性があり、そこから生まれるイノベーションも都市部とは異なる特色を持っています。こうした多様性にも光を当てていきたいと思います。
5. Podcast「価値創造ラジオ」の充実
1月31日に配信を開始したPodcastをさらに充実させ、文字では伝えきれない挑戦者たちの肉声をお届けします。インタビュイーの思いや熱量が直接伝わるこのメディアを通じて、より多くの方に「挑戦」の魅力を感じていただきたいと考えています。
これらの取り組みを通じて、「対話」と「共創」の輪をさらに広げていきたいと考えています。そして、その先にある「新産業の創造」という大きな目標に向けて、微力ながらも貢献していきたいと思います。
信念を持って挑む—私の決意
メディア「CHALLENGER/産業創造の挑戦者たち」の編集長として、そして「ブランド共創部」担当部長として、私が最も大切にしたいのは「WHY(なぜ)」という問いです。なぜこの仕事に取り組むのか。なぜ挑戦者たちの声を届けたいのか。なぜ大手企業の新規事業創出を支援したいのか。
その答えは「他者と自分を同時に幸せにする」という理念に集約されます。挑戦者たちが情熱を持って取り組む事業や活動が社会に新たな価値をもたらし、それによって多くの人々が幸せになる。そして同時に、挑戦者自身もその過程で成長し、喜びを感じる。この好循環を生み出すことが、私の使命だと考えています。
また、大手企業には特有の強みと課題があります。既存のブランド力や資金力、人材、技術といったアセットを最大限に活かしながら、組織の壁や意思決定の複雑さといった課題を克服する方法を模索していきたいと思います。そうすることで、大企業発のイノベーションを促進し、日本経済の活性化と社会課題の解決に貢献できると信じています。
私自身も複数社の役員・起業を経験し、出版社の事業承継を行う企業でCFOとして再成長を牽引した経験から、組織の中で新たな価値を生み出す難しさと喜びを知っています。その経験を活かし、同じような挑戦に取り組む方々のサポートをしていきたいと思います。
そして何より、「発信設計」と「社外巻き込み力」という私の強みを活かし、挑戦者たちの思いや取り組みを社会に伝えていく。そうすることで、また新たな挑戦者が生まれ、対話と共創の輪が広がっていく。そんな好循環を生み出していきたいと考えています。
読者の皆様へ:共に挑戦の旅を
最後に、「CHALLENGER/産業創造の挑戦者たち」を読んでくださっている皆様に、心からの感謝を申し上げます。皆様の関心と応援があってこそ、私たちのメディア活動が成り立っています。
これからも、挑戦者たちの声に耳を傾け、その思いや経験を社会に伝えていく役割を果たしていきます。そして、その過程で私自身も挑戦し続けることを誓います。
「共創」という言葉が示すように、新たな価値は一人では生み出せません。多様な立場や視点を持つ人々が対話し、協力し合うことで初めて生まれるものです。その対話の輪に、ぜひ読者の皆様にも加わっていただきたいと思います。
「こんな挑戦者の話を聞きたい」「このテーマについて深掘りしてほしい」といったご要望や、記事へのご感想など、どんな形でも構いません。皆様からのフィードバックをいただければ、今後の取材活動や「ブランド共創部」での取り組みに反映させていきたいと思います。
共に挑戦の旅を続けていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
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