国内初の「金融機関共同研究型ベンチャーデットファンド」が始動:Funds Startupsが新たなエコシステム創出に挑む、三井住友信託銀行と福岡銀行が支援の手

スタートアップ企業への成長資金を提供するファンズ株式会社の子会社、Funds Startups株式会社が、この度、国内で初めてとなる「金融機関共同研究型ベンチャーデットファンド」を立ち上げました。「Funds Venture Debt Fund 1号投資事業有限責任組合」と名付けられたこのファンドは、ベンチャーデットへの参入を検討・推進する全国の金融機関をLP出資者として迎え、ベンチャーデットに関する実践的な知見やノウハウ、共同投融資の機会を体系的に提供していくことを目指しています。

ファーストクロージングでは、三井住友信託銀行と福岡銀行の2行が参画を決定しました。今後は2024年中に、総額50億円のファンド組成を目指していくとのことです。

日本経済の持続的な発展には、イノベーションを生み出すスタートアップ企業の育成が欠かせません。しかし、特にミドル〜レイターステージのスタートアップは、高い資金ニーズを抱えているにもかかわらず、金融機関側に十分な審査ノウハウがないことが課題となっていました。

この状況を打開すべく立ち上がったのが、Funds Startupsの前川寛洋代表です。Fundsでこれまで培ってきたスタートアップ向け融資の知見を活用し、金融機関との共同研究型ファンドを立ち上げることを決意しました。

出資者であるLPには、ファンド運営を通じて得られた情報やノウハウを共有し、将来的な協調融資の機会創出なども視野に入れながら、各行のベンチャーデット事業の立ち上げを支援していく方針とのことです。

三井住友信託銀行の池村隆司氏は、次のようにコメントしています。 「日本の産業が大きく成長するために、スタートアップ企業によるイノベーションは不可欠で、そのスケールをご支援することは金融機関の使命だと考えています。今般Funds Venture Debt Fund 1号投資事業有限責任組合に参画させていただくことで、グロースステージの課題解決に繋げるとともに、三井住友信託銀行のベンチャーデットのサービス強化に繋げていけると期待しています。

今回の取り組みは、ファンズ様の金融機関との連携でスタートアップエコシステムを拡大させたいとの思いが起点と感じています。スタートアップが経済を牽引していく世界に向けて、ファンズ様、福岡銀行様および他の金融機関の皆様と一緒にベンチャーデットを盛り上げていけることを楽しみにしています。」

また、福岡銀行の平田慶介氏は次のように述べました。 「この度、Funds Venture Debt Fund 1号投資事業有限責任組合に参加させていただくことを大変嬉しく思っております。ファンズ様のユニークなベンチャーデットの審査手法は、今後ベンチャーデット市場の拡大促進につながる可能性があると考えております。

また、本ファンドは金融機関研究機関型ベンチャーデットファンドという建付けであり、ノウハウ共有や共同投融資の機会等弊行のベンチャーデットビジネスに寄与するものと期待しています。本ファンドへの出資を通じ、ファンズ様、三井住友信託銀行様及び今後参画されるLP様と連携しながら、地元九州を始め有望なスタートアップ、次世代の産業育成に貢献していきたいと考えております。」

Funds Startupsの前川寛洋代表は、次のように語っています。 「従来スタートアップと言えば、都内のIT新興企業が大多数でしたが、最近では大学発ベンチャー、研究開発型(Deeptech)、インパクトスタートアップ等を皮切りに、地域的にも、産業的にも多様なスタートアップが次々に生まれてきており、全国的なスタートアップ創業の機運が高まってきていると感じています。

こうした中、次世代の産業創出を推し進めるためには、資金提供者側においても多様なプレイヤーの出現、多様な供給手法の開発が必要であると考えております。

その手段の1つとして、我々はベンチャーデットに注目しております。ベンチャーデットは設計次第でスタートアップ毎の事情やリスクに合わせた資金供給が可能となり、従来のプレイヤーだけでは支援しきれなかった企業への資金還流が期待される等、この発展は極めてインパクトの大きい取り組みになると確信しております。

Fundsがこれまで手掛けてきた、上場前後のスタートアップに対する融資で得た知見、情報、機会等をフル活用し、三井住友信託銀行様、福岡銀行様をはじめ、全国の金融機関様によるベンチャーデットの取り組みにご貢献させていただくことを通じて、国内のスタートアップエコシステムの発展に尽力して参ります。」

大手金融機関がこぞってLPとして名乗りを上げたことからも、前川氏らの取り組みへの期待の高さがうかがえます。ベンチャーデットに関する知見を金融機関と共有し、スタートアップの成長ステージに適した支援を協働で実施していく、そんな新しいエコシステムの萌芽がここにあります。

新たなファイナンスの形を追求するFunds Startupsの挑戦は、日本のスタートアップシーンに変革をもたらすきっかけとなるかもしれません。次世代の産業を担う若き挑戦者たちを、私たちCHALLENGERは引き続き応援し、その創造の歩みを追い続けていきたいと思います。