「オルタナティブ投資の民主化」。この大きな目標を掲げ、日本の資産運用業界に変革の風を吹き込もうと奮闘するスタートアップがあります。それがLUCA Japanです。彼らは長年機関投資家に限定されてきた魅力的な投資機会を、個人投資家を含む幅広い層に提供することを目指し、日々挑戦を続けています。
LUCA Japanの原動力となっているのは、共同創業者でCEOのシデナム慶子氏の情熱です。オルタナティブ投資の世界で長年キャリアを積んできた彼女は、日本の資産運用の現状に危機感を抱いていました。「日本には眠っている個人資産が多くある。世界水準の資産運用の選択肢を広げ、キャピタル・エコシステムの発展に貢献したい」。その強い思いから、大手外資系運用会社での華やかなキャリアを捨て、起業の道を選んだのです。
しかし、その道のりは険しいものでした。「どこに行っても男性しかいなかった」と振り返るシデナム氏。ジェンダーバイアスに悩まされながらの船出となりました。それでも、多様な視点の重要性を訴え続け、志を同じくする仲間とともに一歩一歩前進を続けてきました。
こうした努力が実を結び、誕生したのがオルタナティブ投資プラットフォーム「LUCA」です。複雑な投資プロセスをデジタル化し、ワンストップで完結できるようにしたことで、優良なファンドへのアクセスを飛躍的に拡大。最低投資金額を大幅に引き下げることにも成功し、ハードルを下げることに成功しました。
その革新性が認められ、LUCA Japanは順調に成長を遂げています。2022年末のβ版リリースから約1年。資金調達も着実に進み、創業以来の調達額は約6.3億円に達しました。国内外の投資家や金融機関からも注目を集めており、提携先も着実に増えています。
さらに、富裕層向けサービスの拡充にも力を入れています。新たにマイバッハ財団とパートナーシップを結び、起業家育成や資産運用に関する共同プログラムを計画中。ファミリーオフィスの設立も視野に入れ、複数の富裕層資産の共同運用や、教育・M&A・アートなど幅広いサービス提供を目指します。
「日本のオルタナティブ投資市場の拡大には、スタートアップの声に耳を傾ける姿勢が欠かせない」とシデナム氏は語ります。業界の発展には、挑戦者を後押しする土壌づくりが不可欠だと訴えるのです。同時に、品質へのこだわりを貫く姿勢も印象的。投資リターンの追求だけでなく、投資家との対話を通じて本質的な価値を見出す。それは、資本に真摯に向き合う彼女の信念の表れなのかもしれません。
LUCA Japanの物語は、新たな産業の芽吹きを促そうとする挑戦者たちの記録であり、同時に、その理想に共感するすべての人へのメッセージでもあります。オルタナティブ投資の可能性を信じ、その扉を開こうとする彼らの献身的な努力は、必ずや日本の金融業界に新しい風を吹き込むことでしょう。私たちは、この勇敢なイノベーターたちの挑戦を心から応援しています。