消滅可能性都市を蘇らせた地域創生MaaSの奮闘記「これからの地方創生のシナリオ」 – 地方交通の課題解決に挑んだ博報堂プロジェクトの軌跡をたどる

2024年2月28日、株式会社博報堂の社会課題解決プロジェクトメンバーである畠山洋平氏と堀内悠氏による書籍『これからの地方創生のシナリオ』が大学教育出版より発売されました。本書は、過疎化が進む富山県朝日町において、地域の交通問題解決に取り組んだ博報堂の挑戦の記録となっています。

同プロジェクトでは、地方の公共交通が直面する課題にリアルに向き合い、事業者協力型ライドシェア「ノッカルあさひまち」の立ち上げを通して、「地域創生MaaS」とも呼ぶべき新たな移動サービスの社会実装を目指しました。本書では、そのコンセプト構想から実装までのプロセスを『地域創生MaaSマニュアル』として体系的に紹介。交通分野にとどまらず教育や福祉、地域振興などにも展開する壮大な地方創生への挑戦の軌跡が克明に記されています。

執筆者の畠山氏は、「10年後、20年後に日本中で深刻化すると予想される地域交通の課題解決のヒントを提供したい」と本書の狙いを語ります。堀内氏も、「志を同じくする方々に少しでもお役立ていただければ」と、プロジェクトの現場で得た教訓を広く共有する思いを吐露しています。

産業創造の観点からは、交通事業者や自治体、地域団体、住民など多様なステークホルダーを巻き込み、革新的なモビリティサービスを協創した点が特筆に値します。人口減少社会の本格到来を控え、持続可能な地域のあり方が模索される中、「ノッカルあさひまち」の先駆的な取り組みは、全国の「消滅可能性都市」に示唆に富むモデルを提示しているといえるでしょう。

地方創生の未来を切り拓く1冊として、地域の課題解決に心を砕く全ての方にぜひ手に取っていただきたい書籍です。消滅の危機に瀕した地方都市を、知恵と情熱で再び輝かせる。そんな壮大な物語の予感を感じさせる渾身の1冊です。