【ボランティア募集】地域とプロ野球の新たな共創モデル – 香川オリーブガイナーズが挑む”参加型”スポーツビジネスの可能性

香川県を拠点とする四国アイランドリーグplusの野球チーム、香川オリーブガイナーズが、地域密着型プロ野球の新たなモデルを模索している。その中心となるのが、2024年シーズンに向けて開始された大学生以上を対象としたボランティアスタッフの大規模募集だ。

この取り組みは、単なる人手不足解消策ではない。チームは、ボランティアスタッフを「共に球団を作り上げる仲間」と位置付け、地域住民との新たな関係性を構築しようとしている。

ボランティアスタッフの主な活動内容は、ホームゲームでの会場設営、受付業務、イベント補助、ライブ配信補助など多岐にわたる。参加者は、プロ野球の舞台裏を体験しながら、地域活性化に貢献できる機会を得ることができる。

注目すべきは、ボランティア参加者全員に2024シーズンのホームゲームチケットが贈呈され、シーズン終了後には「ガイナーズオリジナル修了証」が授与される点だ。これは、若者のキャリア形成支援という側面も持ち合わせている。

ホームゲームは、レクザムスタジアム、レクザムボールパーク丸亀、志度総合運動公園野球場、観音寺市総合運動公園野球場など、香川県内の複数の会場で開催される予定だ。この多様な開催地は、より多くの地域住民がプロ野球に触れる機会を提供するという、チームの地域密着戦略の表れと言える。

スポーツビジネス部門編集部では、この取り組みについて以下のように分析している。

「香川オリーブガイナーズの挑戦は、地方都市におけるプロスポーツチーム運営の新たな可能性を示唆しています。彼らの取り組みの核心は、地域住民を「観客」から「共創者」へと変えようとする点にあります。これは、従来のファンサービスの枠を超え、地域社会とプロスポーツチームの関係性を再定義する試みと言えるでしょう。

特に注目したいのは、ボランティア活動を通じた若者のキャリア支援という側面です。プロスポーツチームが地域の人材育成に直接関与するという発想は、スポーツビジネスの新たな展開の可能性を示唆しています。

また、複数の地域でホームゲームを開催する戦略も興味深いものです。これにより、チームの影響力を県全体に拡大し、より広範な地域との絆を築く可能性があります。

一方で、課題も予想されます。ボランティアスタッフの質の確保や、継続的なモチベーション維持、既存の有給スタッフとの役割分担など、運営面での難しさは避けられないでしょう。これらの課題をどのように克服していくか、その過程自体が新たなノウハウとなる可能性があります。

香川オリーブガイナーズの取り組みは、日本のスポーツビジネスにおける産業創造の最前線と言えるかもしれません。今後、どのような成果を生み出すのか、そしてそれがどのように他の地域や他のスポーツに波及していくのか、注目に値すると考えています。」

香川オリーブガイナーズの挑戦は、まだ始まったばかりだ。しかし、その取り組みは既に、プロスポーツと地域社会の関係性に新たな可能性を示している。彼らが切り拓く道は、単に一つの球団の未来だけでなく、日本のスポーツビジネス全体の未来を照らす道標となる可能性を秘めている。

この記事は、CHALLENGER/産業創造の挑戦者たちが追う、新たなビジネスモデルの最前線レポートである。今後も、香川オリーブガイナーズの取り組みを継続的に取材し、その展開を報告していく予定だ。彼らの挑戦が、日本のスポーツビジネス、そして地域創生にどのような影響をもたらすのか、その行方に注目したい。