不動産DXの“最後の秘境”に挑む。TRUSTART、累計21億円調達で描く「不動産データハブ」という壮大な構想

日本の基幹産業でありながら、その情報の多くが役所や法務局、そして各社のExcelファイルに“分断”され、DXの進展を阻んできた不動産業界。この60兆円市場の“最後の秘境”とも言える巨大な課題に、真っ向から挑むスタートアップがいる。TRUSTART株式会社だ。

同社は、シリーズCラウンドで新たに13億円を調達し、累計調達額が約21億円に達したことを発表した。これは単なる資金調達のニュースではない。日本の不動産業界全体の生産性を根底から変革する「不動産ビッグデータプラットフォーム構想」の実現に向け、アクセルを本格的に踏み込むという狼煙である。

なぜ、不動産データは「宝の持ち腐れ」だったのか?

不動産テック市場が急成長する一方で、業界の生産性が伸び悩んできた最大の理由は「情報の分断」にある。不動産の登記情報、所有者情報、地図情報、取引事例…。これらのデータは、アナログとデジタルに散在し、それらを統合する“ハブ”が存在しなかった。結果、各社が個別に非効率な情報収集を強いられ、データはサイロ化し、業界全体の成長機会が失われてきた。

この根深い課題に対し、TRUSTARTは2020年の創業以来、ひたすらに不動産ビッグデータの収集と整備を続けてきた。彼らが提供する「R.E.DATA」は、今や9億項目を超える不動産情報を保有し、ユーザーが求める不動産とそのオーナー情報を、高精度で提供することを可能にしている。

「R.E.DATA」が持つ、圧倒的な競争優位性

TRUSTARTの強みは、単なるデータ量だけではない。生成AIを活用したデータベース構築の高速化、そして、不動産会社だけでなく、金融機関、士業、インフラ会社、リユース会社まで、不動産情報を活用するあらゆる業界に価値を提供している点にある。

シリーズB調達後の2年間で売上4倍超という急成長と、累計700社に達する取引社数が、彼らのソリューションが本物であることを証明している。今回のシリーズCには、HIRAC FUNDなどの既存投資家に加え、大和企業投資やアジア航測、SMBCベンチャーキャピタルといった強力な新規投資家が名を連ねており、その期待の高さが伺える。

「データ提供」から「インテリジェンス提供」へ

調達した資金は、セールスやエンジニアといった人材採用、そしてプラットフォームの機能開発に充てられる。彼らが見据えるのは、単なる「データ屋」ではない。

  • データ種類の拡張: 法人・人流データや金融データへと領域を拡大。
  • 付加価値の向上: AIによる予測分析や、機械学習を活用した売買動向分析、AIアシストによる自動評価・提案書作成機能など、データから「インテリジェンス(知見)」を生み出す。

代表の大江洋治郎氏が語る「不動産情報を取り扱う全業界のデータハブ」。それは、これまで分断されていた情報を繋ぎ合わせ、業界全体の“OS”となるという野心的なビジョンだ。

TRUSTARTの挑戦は、不動産業界という巨大なタンカーの舵を、データとAIの力で新たな航路へと導く、壮大な航海の始まりである。

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Email:masaki.hamasaki@gmail.com URL:https://lin.ee/b3Ht5zA


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