2024年8月31日
バスケットボールB.LEAGUE B2所属の熊本ヴォルターズが、クラブの新たな挑戦に乗り出しています。7月1日、熊本大学との連携協定に基づき、渡鹿体育館を改修してオープンした「VOLTERS GX」(ヴォルターズ ジーエックス)は、クラブハウス機能と共同研究の拠点を兼ね備えた施設です。この意欲的な取り組みを支援するため、クラブはクラウドファンディングを実施しており、ファンやサポーターからの支援を募っています。
熊本ヴォルターズは、2012年の創設以来、「子供たちに夢を」というビジョンのもと、地域に根ざしたクラブとして成長してきました。熊本地震やコロナ禍など、幾多の困難を乗り越え、B2地区優勝を果たすなど着実に歩みを進めてきました。しかし、現行B1への昇格は未だ果たせておらず、クラブはより直接的なチーム強化に繋がる抜本的な改革を行う必要性を感じていました。
VOLTERS GXは、この課題に対する重要な取り組みの一つです。専用練習場としての機能を持つだけでなく、熊本大学の教員・院生・学生によるトレーニング研究や戦術分析といった学術的な取り組みも行われる予定です。これにより、科学的根拠に基づいたチーム強化が期待されています。
クラブの湯之上純一代表取締役社長は、新シーズンに向けた熊本ヴォルターズの方向性について述べています。現行B1への昇格を目指すとともに、2030年のB.PREMIER昇格も視野に入れ、リブランディングを通じてクラブの方向性を再設定し、VOLTERS GXという新たな練習環境を整備したとのことです。
クラウドファンディングの目標金額は7,000,000円で、資金の使途は以下の3点です。
- チームトレーニング機器の導入(トレーニング研究用設備として700万円:第1目標)
- チーム戦術分析・まちづくり推進研究活動費(熊本大学末永研究室研究費として200万円:第2目標)
- より良い練習環境の整備に向けた施設の断熱研究(熊本大学髙田研究室研究費として300万円:第3目標)
これらの取り組みは、単にクラブの強化だけでなく、地域社会への貢献も視野に入れています。例えば、断熱研究は省エネルギーの達成を目指す「パッシブデザイン」の一環であり、社会課題解決にも繋がる可能性を秘めています。
クラウドファンディングの返礼品には、地元企業とのコラボレーション商品や、クラブの歴史を感じられるレトロロゴグッズなど、多彩なラインナップが用意されています。これらは単なる支援への感謝だけでなく、地域経済の活性化や、ファンとクラブの絆を深める役割も果たしています。
Bリーグチェアマンの島田慎二氏も、この取り組みに期待を寄せています。クラブ・オーナー企業・地元国立大学の連携に基づく練習拠点の整備は、Bリーグや日本のスポーツ界でも先進的な取り組みであり、バスケットボールやグリーントランスフォーメーションに関する共同研究に期待を寄せているとのことです。
スポーツビジネス編集部コメント: 熊本ヴォルターズの新たな挑戦は、地域密着型スポーツクラブの可能性を大きく広げるものだと考えています。VOLTERS GXを通じた産学連携は、チーム強化だけでなく、地域社会への貢献や新たな価値創造にも繋がる可能性を秘めています。クラウドファンディングを通じてファンやサポーターを巻き込む姿勢も、「みんなで創るクラブ」という理念を体現しており、非常に興味深い取り組みだと言えるでしょう。
今後の熊本ヴォルターズの動向に注目が集まる中、彼らの挑戦が日本のスポーツ界に新たな視点をもたらすことを期待しています。同時に、この取り組みが他のクラブや地域にも波及し、スポーツを通じた地域活性化のモデルケースとなることを願っています。
なお、本記事の情報は2024年8月31日時点のものです。最新の情報や詳細については、熊本ヴォルターズの公式サイトやクラウドファンディングのページをご確認ください。また、クラウドファンディングへの参加を検討される際は、支援の内容や条件をよくご確認いただくことをお勧めします。
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